両親がいない4姉妹と言葉を喋る不思議な犬ユンカースが出会ったことから始まる、家族の絆を描くストーリー。
1990年10月、木根の『CAROL』に続く小説の第2弾として出版。ストーリー中に出てくるミニチュア・シュナウザー犬の「ユンカース」は、同じくTM NETWORKのメンバーである小室哲哉がイギリス滞在時に飼っていた同名の犬がモデル。躾は全て英語で行われていたため、小室がユンカースに対し「Junkers, come here(ユンカース、おいで)」と呼びかけるのを、木根が何度か耳にしていたことがタイトルの由来となった。その後、ユンカースは小室の元妻である大谷香奈子の元で、2005年6月6日に亡くなるまで育てられた。 小説の発売から5年後、佐藤順一の監督でアニメ映画化が行われ、木根は映画で使用される音楽制作・声優を担当した。同年の毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞するが、興行が成功しなかったため、セル作品としての発売は行われずに、"幻の作品"になってしまった。 その後『ユンカース・カム・ヒア』を観る会ができ、映画の舞台になっている東急世田谷線沿線の下高井戸シネマでの上映会や、主人公の通う学校のモデルになった世田谷区立赤堤小学校での上映から、CS放送・ビデオ発売へと至り、ファンを増やすことに成功した。
『ユンカース・カム・ヒア』DVD発売 映像特典はパイロットフィルム! 『おジャ魔女どれみ』『STRANGE DAWN』等でお馴染みの佐藤順一が手がけた、初の劇場長編『ユンカース・カム・ヒア』が、ついにDVDとして発売される。木根尚登の原作を元に、制作をトライアングルスタッフが手がけた本作は、丁寧な生活描写を積み重ねた良心作ながら、これまで一度もソフト化されたことのなかった、いわば“幻の作品”。それだけに、今回のDVD化はうれしいところだ。 アニメスタイル的には、パイロットフィルムが映像特典として収録される点にも注目したい。「アニメの作画を語ろう」にもご登場いただいた、大平晋也が作画監督を務めており、原画に橋本晋治、田辺修、大橋学等が参加。わずか3分ほどだが、作画の見どころの多いフィルムとなっている。